理事長所信

理事長所信Belief

理事長所信

 

【はじめに】
 今まさに、我々は未曾有の危機に直面している。混沌とした時代に追い打ちをかけるように、戦後最大の国難が瞬く間に押し寄せた。新型コロナウイルスによるパンデミックは、社会的混乱を招き、山積した社会課題を浮き彫りにしたと同時に、人や国同士の連携や他がために生きる必要性を世の中に強く認識させた。
 協力は競争よりも価値がある。我々は手を拱く傍観者であってはならない。戦後の国難時、先導者の必要に迫られた時に生まれた団体こそ青年会議所であり、以後如何なる苦難であろうとも、旗手となり率先して行動し乗り越えてきたのである。新たな国難が目の前に迫る今こそ、真価が問われる時。社会を好転させるべく行動で示していかなければならない。英知を集結させ、危機的状況をチャンスに変えることで、強靭で持続可能な地域を創造する。そのためには、「実践力」が今求められている。

【65周年を迎えて】
 1957年7月、30名の若き青年の祖国と郷土の発展を思う意気と情熱により西尾青年会議所は誕生し、その運動の火を灯した。そして本年、65周年の佳節を迎える。「明るい豊かな社会」の実現に向け、多くの先輩諸兄姉がその各時代における社会課題と対峙し、必要とされる様々な運動を創造し実践してきた。今日に至るまでの苦労や膨大な議論の時間は容易に想像できるものではないが、現在の当青年会議所が在るのは、先達の弛まぬ努力と、地域に根付き時代に即した幾多の運動の証に他ならない。その苦労の上にあって、我々は多くのメンバーと多様な価値観に触れ、大きな運動を展開しうる環境を有するに至っている。
 我々は、64年間という長きに渡るその歩みに改めて深く感謝し、誠意をもって行動していかなければならない。先達より紡がれてきた創始の精神を胸に、更なる進化のための挑戦を繰り返していく。そして、地域からの信頼と付託に応えるべく、次なる70年へ向け新たな歩みを進める。

【知見を実社会にて活用できる人財へ】
 「VUCA」の時代とも言われる先行きが予測不能な昨今、これまで求められていた課題解決型の人財に加え、新たな価値を創出するイノベーション型の人財の必要性が増している。古いものは瞬時に淘汰され、短期間による企業の栄枯盛衰の移り変わりや過去の成功モデルが通用しない状況下では、前例に捉われず、広くも深い知識や柔軟な発想力に加え、理想を実現するための力を併せ持つことが必要であると私は考える。自身を内省し、未来を予見し、決断して動く。今こそ「実践力」を身に付けなければならない。
 明るい豊かな社会のために日々議論を重ねているが、それは決して机上の空論であってはならず、古来より「知行合一」という言葉があるように、知識と行動は表裏一体でなければならない。時に、意識変革団体とも言われる青年会議所ではあるが、我々の実践なくして市民の行動変容が起きることはない。実践した者の声でしか心には届かないのである。まさに、学び得た知見を実社会にて活用することのできる人財が必要である。先の見えないVUCAの時代に、進むべき道を照らす灯火となるのは、我々JAYCEEに他ならない。

【情報化社会を生き抜く】
 本年度は、西尾青年会議所としては初となる東海地区協議会会長をはじめ、日本青年会議所本会、東海地区協議会及び愛知ブロック協議会へと、数多くの出向者を輩出する。そのため、これまで同様に多くの学びを得る機会を頂くこととなる。出向は、自己成長に繋げることができる最良の機会であり、LOMでは経験し得ないスケールメリットを活かした活動を通して、視野の広がりや他地域の志同じくする者との出会いがある。これまでも多くの出向経験者が今日の当青年会議所の発展に寄与してきたように、出向者は自己成長のみならず、そこで得た経験をLOM益や地域益として還元する意識を常に持ち、果敢に挑戦し続けてもらいたい。
 輩出LOMとして常に緊密な連携を図り、出向者にとっても誇りに感じられる支援にあたることで、対外的にも強い組織運営を目指していくと共に、各種大会や諸会議における運動意義や目的を今一度明確にすることで、メンバーの動機付けを図り、フォーラムやセミナーへの積極的な参画意識を醸成していきたい。
 更なる高みを目指す機会を得たならば、貪欲に挑み続けてほしい。真剣に取り組む姿にこそ人は共感し、支えとなってくれるものである。あなたは決して一人ではない。

【出向者支援と相互研鑽】
 西尾青年会議所の底力はその人材育成システムにあります。青年会議所は所属しているだけでは何ら学びを得ることも、成長することも出来ません。筋力トレーニングと同じで、少し自分自身に負荷をかけ、背伸びをすることで初めて学びや成長が得られるものであります。青年会議所は機会を提供する団体であり、目の前の機会に対して自らを奮い立たせて挑戦することができるのか、目をそらして逃げるのか。その決断で成長の度合いに雲泥の開きが生じます。機会に対して常にプラス思考で前向きであり、青年会議所を存分に使って「自己成長」につなげていくことができる。そんな人材を育成していく必要があると考えます。自己成長こそがLOMを強くし、LOMで成長した人材が社会で活躍することで地域を明るく輝かせます。
 西尾青年会議所が誕生して64年間、唯一継続して取り組んでいる運動が「会員拡大」です。青年会議所はいつの時代も活力あふれる常若の組織であり続けるために20歳から40歳までの活動期間を設けています。それが意味することは、会員拡大を怠れば組織は衰退してしまうということです。会員拡大は誰もがいつでも行うことができる重要なJC運動であることを忘れてはなりません。では、どんな人が西尾青年会議所メンバーとしてふさわしいのでしょうか。我々はこの問いに対して「志のある青年ならば誰でも」と答えるべきではないでしょうか。男女はもちろん、職業も国籍や障害など、その他何にも左右されないニュートラルな視点での会員拡大を行う必要があると考えます。誰もが失敗を恐れず挑戦することができる組織へ、選ばれる組織へ、進化してまいります。

【来たるべき時に備えて】
 東日本大震災の発災から10年、熊本地震からは5年の月日が流れた。我々はあの日より何を学び、何を教訓として取り組むことができているのだろうか。近い将来発生すると示唆される南海トラフ大地震の切迫性が高まりつつある中で、機動性に富んだ進化はおろか、防災意識が風化してはいないかと懸念を抱いている。
 西尾青年会議所は、2017年に行政との提携により、実働可能な防災体制を構築することができた。ただ、最も肝心なのはその「実践力」にある。いざ有事に直面した際、予想だにしない混乱の中で率先して行動を起こす者こそ、広大なネットワークを有した我々JAYCEEに他ならない。人との繋がりを活かし、被災経験者や被災地の同志の実体験に基づく教訓から、防災減災体制の在り方を考察すると共に、どう行動すべきかを研鑽し、実働可能な体制の一層の強化に努めていく。
 また、市民の自助意識の啓発を図り、「減災」や「備災」へ取り組む機会を創出すると共に、我々は企業人としても、BCP(事業継続計画)対策の「企業防災」に取り組む必要性も忘れてはならない。尊い犠牲と引き換えに得た教訓を、我々は無駄にしてはならない。「命」より貴いものなど決してないのだから。

【次世代の担い手のために】
 スポーツは人に夢や感動を与え、遊び要素だけでなく人間形成にも大きな影響を与える。現代を生きる子供たちにとって、日常生活の行動範囲や時間、遊ぶ相手ですら大人に管理される傾向が強まる中、心身両面にわたる健康上の問題が顕在化してきている。2021年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを機に、スポーツの経験を通じて、チャレンジ精神や忍耐力、他者との協調や思いやりの心などにくわえ、自己肯定感の醸成を意識した豊かな人間性を育む事業を推進していく。
 また、「わんぱく相撲西尾場所」にて、子どもに必要な三育(徳育、体育、知育)を意識した、礼節や心身を育むことのできる機会を創出することで、心豊かで健全な青少年の育成に努めていく。
 2021年は、現職任期満了に伴う首長選挙が開催される年でもある。現在、各学校において主権者教育が実施され、2022年からは必履修科目として「公共」が始まるが、社会が期待する程度にまで伸長されるには暫し時間がかかるのは否めない。現教育は、選挙啓発に関するものが多く、本来学ぶべき政治的リテラシーや参画意識の醸成は未だ不十分であり、一人ひとりが意思決定し、社会的な合意形成を図っていく力を養う機会が必要である。

【協働と共創による夢を描ける機会の創出】
 西尾市と幡豆郡3町の合併により、新「西尾市」が誕生して10年目を迎える。合併以降の新たな西尾市は、「三河の小京都」と称されるほどの地域資源を多く有している。これらは長い歴史と先人の恩恵によるものであり、我々には、「恩送り」として未来をさらにより良いものへと発展させていく責任がある。次世代を担う子どもたちにとって、「地元で暮らし働きたい」と思えるようなまちとは、いったいどのようなものであろうか。
 国政に目を向けてみると、Society5.0やスマートシティ、SDGsなどに関心が集まる一方で、地方創生は2020年4月よりセカンドステージへと移行した。これまで最重要課題とされてきた東京一極集中の是正もこれにより先送りとなり、地方の人口や担い手の減少には未だ歯止めがかからない。第2期で重要視される関係人口の増加においては、後に移住政策をめぐり人口の奪い合いとなる結果を招きかねないとも推察される。こうした背景にあって地元離れが一層深刻化する中、地域資源の発掘や有効活用にくわえ、一人ひとりのシビックプライドの醸成が一層重要であると考える。
 また、事業結果がそれらを高めるのではなく、実施するに至るまでの過程にこそ意義がある。外国人や高齢者、障害者との共生社会の実現が求められる昨今においては、特に「協働・共創」を強く意識し、運動モデルを創り上げていくべきである。そして、西尾市の10年先の未来を創造し体現することにより、次世代を担う誰しもが、伝統文化や産業技術の進化などに直接触れる体験を通じて、夢を描ける機会を創出したいと考える。

【会員の拡大】
  ここ数年、西尾青年会議所において会員数は年々減少傾向にある。組織が時代に即していないからなのか、はたまた現会員の気概に問題があるのか。長年幾度となく論議されてきた喫緊の課題であるが、その糸口こそまさに「実践躬行」に他ならない。会員個々が日々の活動に追われるだけでなく、実践を通して社業や地域に寄与することで、信頼に足る存在へと昇華されたならば、自ずと会員拡大の成果や青年会議所運動の認知向上に繋がると確信している。
 拡大活動こそ自身の力量を試すことができる最大の機会である。会員拡大の成果は、会員個々の「熱意」と「行動力」に比例することは言うまでもない。活動の意義や目的の理解は必須であり、単なる勧誘行動ではなく、共感を得られる言動が伴っていなければならない。また、現会員の平均年齢は35歳、平均在籍年数は5年弱と、この実状を踏まえれば、若い年齢層へのアプローチも必要であることが分かる。一人ひとりが西尾青年会議所の広告塔である自覚をもって「全員拡大」を実践していく。
 また、会員拡大には「増」と「強」の両輪が重要とされているが、その中でも、活動に消極的な会員の意識喚起に注力していきたい。「紹介者」という立場に改めて意義と責任を持たせ、サポートの強化を図ることにより、誰一人取り残さない組織強化に努めていく。

【地域のリーダーへの第一歩】
 我々は未だ青く若い。その未熟さを補うためのあらゆる成長の機会がここ青年会議所には点在している。「学び舎」とも言われるだけあり、まさにリカレント教育に等しくもあると考えるが、決して在籍するだけで成長が保証されているわけではない。まずは何事にも果敢に行動し、受容することから始めたい。
 また、我々が活動を行う上で常に忘れてはならないことは、会社や家族の理解や支えの上に成り立っていることである。感謝の念をもってすれば自ずと自律的な行動として表れるはずであり、自己研鑽ができる環境を有していることに感謝しながらも、様々な成長の機会に対し能動的に活動していく必要がある。そして、何かを揶揄する前に、まずは己を顧みることで自己研鑽に努めるべきであろう。自らを変えられない者に社会を変えられるはずはない。現状維持は衰退を意味するように、自身の置かれた環境を変えずして事を成そうとしてもそこに成長はなく、厳しい境遇の中に身を投じ努力するからこそ、大きな成果が得られるものである。

【結びに】
 青年会議所を離れ、再び社業に軸足を置くこととなった時、それでも今と変わらずまちの未来を想い、「果敢に行動できる人財」となれているだろうか。経験から得た知見を大いに活用できる、「実践が伴った人財」となれているだろうか。そして、地域により良い影響をもたらしうる、「必要とされる人財」となり得ているだろうか。
 青年会議所での時間は有限である。だからこそ、若さという特権と恵まれた環境を大いに活かし、果敢に社会実験を繰り返していくべきである。そして、自分には何ができ何を残せるのかを深く考え、今しかできない行動に移すのである。あなたの行動は周りの人に間違いなく影響を与えている。その積み重ねが、我々の住み暮らす地域、ひいては国の未来を創っている。「明るい豊かな社会」の創造は、まさに我々一人ひとりの「実践」により始まるのである。
 様々な節目が重なる年。自身の行動と青年会議所の存在意義を今一度見つめ直し、多彩な仲間と共に、社会を変える起点となる運動を展開していく。そして、64年にわたり紡がれてきた志とあらゆる恩恵を、我々責任世代が「恩送り」として次世代に繋いでいく。
より良い未来へ繋げる “英知” と 確実に実行に移す “勇気” と
必ず実現させる “情熱” をもって
今こそ「実践」すべき時!西尾の未来を彩るために!