理事長所信

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理事長所信

 

【はじめに】
 1957年7月、30名の若者により我々が住み暮らす西尾市にも青年会議所運動の灯がともりました。高度経済成長からバブル崩壊、失われた30年を経て、我々は令和という時代を迎えました。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい。我々はそのような令和に込められた願いを実現することができるのでしょうか。何をすべきでしょうか。
 情報化社会の進展とともに、時代の潮流は速さを増し、価値観はモノからコトへ、さらには持続性を重視したサステナビリティへと変化しています。このような時代の中で、半歩先の未来を捉えてしなやかに変化することは「挑戦」によってのみ成し遂げられるものであると考えます。現在我々が活動をしているこの青年会議所も、先達の絶え間ない挑戦によって築き上げられたものであり、我々もまた組織として挑戦し続けることにより変化し続けなければなりません。挑戦による変化をし続けることで、まちに対してインパクトを与え、意気あふれる有為な人材を輩出する団体であり続けることができるのです。
 また、組織のしなやかな変化のためには会員個々の挑戦が必要です。青年会議所は機会を提供する団体であります。その機会に対して向きあい、失敗を恐れず挑戦することこそ、JC活動の本質であると私は考えています。挑戦こそが会員個々の成長につながり、個々の成長がLOMを強くし、地域を明るくすることに疑いの余地はありません。英知と勇気と情熱がみなぎる青年だからこそ、青年会議所だからできるのです。さあ、思い切り挑戦しよう。

【多様性と新時代のリーダーシップ】
 生産年齢人口の減少を背景として働き方改革が政府の政策として推し進められています。そして、その一環として「多様性」という意味を持つダイバーシティという言葉が一般化しつつあります。ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて飛び交うグローバリゼーション時代において、多様性を受け入れないことは即ち自らの視野を狭めることにほかならず、時代の潮流から取り残されて衰退することを意味します。近年は当青年会議所でもダイバーシティを推進し、境遇や価値観、性別などが異なる様々な人材が活動しています。それに合わせて組織としても柔軟に変化し、多様な人材が失敗を恐れず挑戦することができる環境を構築するとともに、異なる価値観を受け入れ、これまで以上に互いを認め合う風土を醸成する必要があると考えます。多様性を認め、受け入れることは重要ですが、何もかも許容するわけではありません。我々が大切にしている理念や規律を守りつつ、誰もが活動しやすい組織へ。組織の在り方、青年会議所との向き合い方を今一度見つめなおすとともに、全てのメンバーに対して成長の機会を創出し、組織を進化させてまいります。
 多様性を受け入れる中で、リーダーシップの在り方も刻々と変化をしています。現代のリーダーシップとは、もはや飛びぬけた能力やカリスマ性ではないと考えます。ビジョンを提示し、優先順位を決め、フォロワーメンバーが能動的に行動できるようにサポートすること。そして権限移譲によりフォロワーメンバーの成長を促していくということが大切ではないでしょうか。しかしながら現状においては、リーダーのみが奮闘し、フォロワーメンバーを巻き込めていない状況が散見されます。そこで、リーダーシップだけでなくフォロワーシップという概念についても学ぶ必要があります。フォロワーシップとは、リーダーへの自律的な支援と組織への主体的貢献を指します。青年会議所においては単年度制という仕組みから、リーダーを経験したメンバーがフォロワーとしてリーダーを支援します。リーダー、フォロワーそれぞれが互いを思い遣り、リーダーシップとフォロワーシップが育まれ、それらが相乗効果を発揮して強固な組織へと進化していきます。リーダーシップとフォロワーシップがどうあるべきかを学び、JC活動で実践し、それを会社や家庭、地域で活かすことのできるJAYCEEであるべきです。
 また、我々が住まう地域での多様性はどのように進行しているのでしょうか。一昨年、国が「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる骨太方針が閣議決定をし、「新たな外国人材の受入れ」の方針が示されました。昨年4月には入国管理法の改正法が施行され、今後ますます外国人住民比率は高くなるものと考えられます。西尾市においては約10,000人、人口比率6%弱の外国人住民が暮らしており、17人に1人は外国人住民という計算になります。これは全国的に見ても極めて高く、今後は外国人住民もステークホルダーと捉え、共に手を携えてより良い地域社会を構築していく必要があると考えます。行政としても多文化共生の推進を行っていますが、仕組みといったハード面は整備されつつあるものの、受け入れる地域社会側の意識は十分ではないと感じます。それは日本人住民と外国人住民が地域において十分な関わり合いを持てず、互いの理解が進んでいないからではないでしょうか。相互理解の上に外国人の多様性を活かした多文化共生都市西尾の確立を目指します。

【持続可能な地域と世界】
 高度経済成長からバブル崩壊、情報化社会の進展を経て、我々の社会は少子高齢化の局面を迎えています。生産年齢人口の減少には歯止めがかからず、今後大きな経済成長は見込めなくなってきています。今後はサステナビリティという価値観の元、いかに持続可能な社会を作っていくかが大きな課題となっています。そこで注目すべきは2015年9月の国連サミットで採択された2030年を期限とした持続可能な開発目標、SDGsであります。これは発展途上国のみならず先進国自身も取り組むべき普遍的目標であり、日本青年会議所としても「日本一のSDGs推進団体になる」ことを目標に掲げています。キービジュアルを通じて視覚的にわかりやすい17の目標はプロセスからゴールまでが明確に提示されており、我々が今、何を目標としてこの活動を行っているのかを地域に向けて分かりやすく表現することができると考えます。それは活動の本質を容易に理解していただくことにつながり、地域の人々が自らの住まうまちに目を向けるきっかけを与えるものと言うことができます。しかしながら、日本におけるSDGsの認知度は約18%となっており、これは他の先進国と比べても際立って低い数値となっています。まずは我々メンバーがSDGsについて学び、理解を深め、行動レベルにまで落とし込んでいく必要があると考えます。さらには地域に向けてSDGsを様々な形で発信し、地球規模で諸問題を考え、普段からそれを自分自身の問題と捉えて行動に移すことができる人材を増やし、持続可能な地域社会を創造してまいります。

【心身ともに健やかで郷土愛あふれる青少年の育成】
 いつの時代も次代を担っていく子どもたちは地域の宝であり、彼らの育成は地域、家庭、学校のみならず我々青年会議所の使命でもあります。本年は東京オリンピックが開催される記念すべき年であり、スポーツを通して今後の青少年育成を考え、実施するまたとない機会です。スポーツは、次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重し協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育むなど、人格の形成にも大きな影響を及ぼすものです。また、人と人との交流を生み出し、地域の一体感や活力をも醸成するものです。スポーツをもっと気軽に楽しみ、心身共に健康増進を図ることで、子どもたちが心豊かに育つ土壌を作り上げてまいります。
 また、地域の未来を担う青少年育成のためには、まずは我々青年会議所メンバーが自らの地域に誇りを持ち、郷土を想う心「郷土愛」を育成する必要があります。西尾市は文化、産業、歴史、自然、いずれにも恵まれた大変住みやすいまちであることは言うまでもありません。しかしながらこれらの魅力を学ぶ機会は日頃から決して多くはありません。改めて西尾の魅力や地域課題も含めた現状を考えることで「郷土愛」を育み、真にこの地域を想い西尾の未来を創造していくことができるJAYCEEとなります。
 そして、地域の青少年にも地域の現状について考える機会を提供し、自身も主権者として地域をより良くしていくことができる当事者であることの自覚を促します。青少年が自分たちの身近な地域社会の課題を考え、課題解決に向き合うことにより、正しい判断力を見極める力を養い、主権者意識の醸成を目指してまいります。

【誰もが失敗を恐れず挑戦できる組織】
 西尾青年会議所の底力はその人材育成システムにあります。青年会議所は所属しているだけでは何ら学びを得ることも、成長することも出来ません。筋力トレーニングと同じで、少し自分自身に負荷をかけ、背伸びをすることで初めて学びや成長が得られるものであります。青年会議所は機会を提供する団体であり、目の前の機会に対して自らを奮い立たせて挑戦することができるのか、目をそらして逃げるのか。その決断で成長の度合いに雲泥の開きが生じます。機会に対して常にプラス思考で前向きであり、青年会議所を存分に使って「自己成長」につなげていくことができる。そんな人材を育成していく必要があると考えます。自己成長こそがLOMを強くし、LOMで成長した人材が社会で活躍することで地域を明るく輝かせます。
 西尾青年会議所が誕生して64年間、唯一継続して取り組んでいる運動が「会員拡大」です。青年会議所はいつの時代も活力あふれる常若の組織であり続けるために20歳から40歳までの活動期間を設けています。それが意味することは、会員拡大を怠れば組織は衰退してしまうということです。会員拡大は誰もがいつでも行うことができる重要なJC運動であることを忘れてはなりません。では、どんな人が西尾青年会議所メンバーとしてふさわしいのでしょうか。我々はこの問いに対して「志のある青年ならば誰でも」と答えるべきではないでしょうか。男女はもちろん、職業も国籍や障害など、その他何にも左右されないニュートラルな視点での会員拡大を行う必要があると考えます。誰もが失敗を恐れず挑戦することができる組織へ、選ばれる組織へ、進化してまいります。

【次代を捉えて変化し続ける組織】
 青年会議所は文字通り会議を行う場所であり、会議を通して組織としての意思決定が行われます。また、議案には高い精度が求められ、それも我々の活動の重要なパートと考えられ、様々なルールや仕組みが整備されてきています。しかしながら、ルールの多さや仕組みの精緻さは、時に青年らしい発想力や思い切った挑戦を妨げることにつながる危険性もあります。そこで、ルールや仕組みについては次代を捉えて見直すことも検討し、会議については建設的な意見が飛び交う運営を目指す必要があると考えます。一方で規律については厳格に、青年経済人として地域の模範となるよう、足並みをそろえ、地域から信頼される団体であり続けます。
 また、青年会議所には様々な場所に学びの機会があり、日本青年会議所や地区協議会、ブロック協議会、そしてその裾野は世界にも広がっています。出向者はそれぞれの場所で広域的な視点から社会課題の解決に取り組み、そこで得られた学びや新たな視点、アイデアをLOMに持ち帰り、我々の地域のさらなる発展に活かすことが大切です。また、学びの場は各地青年会議所間や国際的な交流を創出し、それらは客観的に我々の地域を見直す機会にもなります。真に地域の発展を想うのであれば、西尾という範疇に留まらず、そのような学びの機会をLOM内に広く周知し、積極的に活用する必要があると考えます。
 また、西尾青年会議所が一枚岩の組織として活動するためには、意気あふれるメンバー個々の活動に焦点をあて、青年会議所への帰属意識を高めると共に、かけがえのない仲間との絆を強固にする必要があると考えます。そして、我々が今後もさらに力強い運動を展開していくためには、青年会議所の価値や魅力を発信し、関わる全てのステークホルダーの理解と協力を得ることが必要です。さらには、市民の意識変革のためには市民の共感を得ることが不可欠です。我々は今後も、対外的な広報活動を通じて組織の認知度を向上させると共に、市民にとって身近で、まちの課題を解決する能力に優れた団体として信頼を高めることを目指します。

【結びに】
 青年会議所に所属しているだけは、成長は約束されません。青年会議所が提供する機会、青年会議所が与えてくれる出会い、これらに向き合い、挑戦し続けることで初めて個々の会員の成長へとつながります。しかしながら、挑戦には失敗はつきものであり、誰しも恐ろしいものです。どうか勇気をもって、自らを奮い立たせて、青年らしく立ち向かおうではありませんか。

 「勇気とは恐怖心の欠落ではなく、それに打ち勝つところにあるのだと。勇者とは恐れを知らない人間ではなく、恐れを克服する人間のことなのだ。」(ネルソン・マンデラ)

 これまでの自分を超えていこう。何度も、誰でも挑戦できる青年会議所であり続けよう。絶え間ない挑戦を通じて、時代の変化に合わせて多様性を受け入れつつ変化し、新時代のリーダーシップで地域、家庭、会社を牽引していこう。心身共に健やかで郷土愛溢れ、多文化が共生する、誰一人取り残さない持続可能なまちを創造してまいります。